時代の流れと共に、周辺の賃料相場が値上げされてくると、賃貸人が賃借人に対して地代の値上げを請求する事があります。
地代の値上げは法律でも認められた権利ですが、賃借人によっては地代の値上げを拒否するケースもあります。
このような場合、賃貸人がどのように対処したらいいのか分からないという事になりかねないので、今回は地代の値上げは可能?というテーマで、拒否された際の対処法についても解説していきたいと思います。
地代の値上げは可能?
先ほども触れましたが、地代の値上げは借地借家法で認められた賃貸人の権利なので、賃借人に対して値上げを請求する事は可能となっています。
特に、周辺地域の賃料相場が上がったにも関わらず、長年地代が据え置かれているようなケースでは、値上げを請求できる可能性は高いです。
しかしここで注意が必要なのは、賃貸借契約において一定期間地代の増額をしない旨の特約が定められている場合は、地代の値上げを請求する事が出来ませんので、注意しましょう。
地代の値上げを行う方法
それでは次に、地代の値上げを行う方法を解説していきたいと思います。
地代の値上げに関しては、賃貸人と賃借人との間で値上げに対して合意するか、裁判によって判決等を得る方法の2種類になります。
地代の値上げは、賃貸人の一方的な意思表示だけでは効力は持たず、当事者間で協議する事が必要です。
話し合いで合意が得られない場合は、裁判によって値上げの可否を争う事になります。
裁判の前に、調停を挟む場合もありますが、それでも合意が得られない場合は裁判の手続きで争う事になります。
地代の値上げを拒否された場合の対処法
それでは次に、地代の値上げを拒否された場合の対処法について解説していきたいと思います。
裁判所に訴訟を提起する
まず最初に、賃貸人が裁判所に訴状を提出して訴えを提起します。
訴状には、当事者の基本的な情報や具体的な事実などを記載します。
訴状は、「被告の普通裁判籍の所在地」か「不動産の所在地」のいずれかを管轄する地方裁判所に提出します。
値上げの根拠を主張・立証する
そして次に、口頭弁論期日において、地代の値上げをすべき根拠を主張・立証します。
裁判所に訴状を提出すると、裁判所が第1回口頭弁論期日を指定し、当事者双方へ通知します。
反論としての「答弁書」が被告から提出され、第1回目の口頭弁論期日を迎える事になります。
口頭弁論期日をは、だいたい1ヵ月おきに設定され、展開し合う事になります。
この間、賃貸人は地代の不相当性を基礎づける下記の事実を立証する必要があります。
・土地に対する租税公課が増額になった事実
・土地の価格が上昇した事実
・その他の経済事情の変動があった事実
・近隣の土地の地代額
判決によって値上げが命じられる
そして、このような経過を経て、裁判所が地代の値上げの要件を満たしていると判断した場合は、判決によって地代の値上げが命じられます。
判決に不服がある当事者は、判決書の送達を受けた日から2週間以内に、高等裁判所に対して控訴する事が認められています。
地代の値上げ交渉を行う時のポイント
それでは最後に、地代の値上げ交渉を行う時のポイントを解説していきたいと思います。
先ほど解説した通り、裁判で地代の値上げを争う事も出来ますが、多大な労力と時間がかかるため、出来れば交渉によって値上げを実現出来るのが望ましいと言えます。
そのためには、交渉上留意しておくべきポイントを覚えておく事が必要です。
小見出し1、値上げの根拠をしっかり説明する
まず1つ目は、値上げの根拠をしっかり説明するという事です。
ほとんどの場合、賃借人に対して地代の値上げに法律上の根拠がある事をしっかり説明すれば、値上げに応じてくれます。
値上げの根拠を説明する際は、地価の周辺賃料相場の高騰や具体的な数値を見せて、客観的に見ても値上げが妥当だと分かるようにしておきましょう。
必要に応じて段階的に地代の値上げを行う
2つ目は、必要に応じて段階的に地代の値上げを行うという事です。
賃貸人からすれば、地代の値上げは妥当と思っていても、いきなり提案された賃借人にとってはすぐに対応できないケースもあります。
賃借人が納得できないままでは、賃料の不払いが起きる可能性もある事から、すぐに値上げが難しい場合は段階的に地代の値上げを行う方法も有効です。
賃借人にとっても、ある程度猶予期間があるため、地代の値上げを受け入れやすくなります。
まとめ
さて今回は、地代の値上げは可能?というテーマで、拒否された時の対処法も併せて解説してみました。
地代は、時代の流れと共に周辺の相場に合わせて変化させていく必要があり、状況によって賃借人に対して値上げの交渉が必要になる事があります。
交渉のみで合意できるのが理想的ですが、ケースによっては裁判に発展してしまう事もあります。
今回は、交渉の際のポイントや裁判の際の流れもご紹介しましたので、地代の値上げを検討している人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。